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日本語での評価レポートの公開方法およびLevel1セルフアセスメントの重要性について

本ブログでは、STAR Level1セルフアセスメントの重要性および日本語での評価レポートの公開方法について記述します。

2021年10月20日
CCM/STAR WGメンバー 諸角昌宏

クラウドサービスプロバイダが、提供するクラウドサービスのセキュリティ情報を公開することは非常に重要です。クラウドセキュリティにおける責任共有モデルにおいては、クラウドサービス利用者は、自身が管理するセキュリティとプロバイダが管理するセキュリティの両方を把握し説明責任を果たすことが必要で、そのためには、利用するクラウドサービスのセキュリティレベルを把握する必要があります。これは、利用者がプロバイダに直接確認することで行えますが、たくさんの利用者を抱えているプロバイダが、利用者ごとの問い合わせに対応することは非効率です。そこで、プロバイダが、提供しているクラウドサービスのセキュリティ情報をあらかじめ公開することで、利用者は公開された情報に基づいてクラウドサービスのセキュリティレベルを把握することができます。また、プロバイダは、利用者からの個別の問い合わせに対応する作業を削減することができますし、セキュリティ情報を積極的に公開することにより、セキュリティをビジネス上の差別化要因とすることができます。

STAR Level1セルフアセスメントは、CSAが提供しているCAIQ(Consensus Assessment Initiative Questionnaire)に、プロバイダが自己評価した結果を記述し、それを公開するウエブサイト(CSA STAR Registry: https://cloudsecurityalliance.org/star/registry/)を提供しています。このCSA STAR Registryには、STAR認証が提供する3つのレベルの情報が公開されていますが、CAIQの評価レポートは、STAR Level1 セルフアセスメントとして公開されています。STAR Level1 セルフアセスメントのようなセキュリティの透明性に対する取り組みは、特に欧米のプロバイダは積極的に行っています。CSA STAR Registryには、1000以上のクラウドサービスが登録されていますが、その大部分がSTAR Level1セルフアセスメントとしてCAIQ評価レポートを公開しています。

CSAジャパンでは、日本のプロバイダが積極的にセキュリティ情報を公開できるように支援していきます。以下の2つのアプローチになります。

  1. 日本語CAIQ評価レポートの登録手順を日本語で提供
    STAR Level1 セルフアセスメントの登録手続きは、英語で行う必要があります。会社名やクラウドサービス名、およびそれらの概要等は、英語で記述する必要があります。CSAジャパンでは、日本語CAIQ評価レポートの作成から、STAR Level1 セルフアセスメントの登録までの一連の手順を日本語で記述しました。以下のウエブサイトを参照してください。
    https://www.cloudsecurityalliance.jp/site/?page_id=1005
  2. 日本語 CAIQ評価レポートを公開されているプロバイダとクラウドサービスの情報を公開
    CSA STAR Registryには、すべてのクラウドサービスの情報がアルファベット順にリストされています。この中から、日本語CAIQ評価レポートを公開しているプロバイダ及びクラウドサービスを探すことは難しいです。そこで、CSAジャパンでは、CSAジャパンのウエブサイトから、日本語 CAIQ評価レポートを公開されているプロバイダとクラウドサービスの情報を公開することとしました。以下のウエブサイトになります。
    https://www.cloudsecurityalliance.jp/site/?page_id=19811
    なお、日本語 CAIQ評価レポートを公開されているプロバイダ及びクラウドサービスをすべて把握することが難しく、このサイトの情報はCSAジャパンが把握できているもののみになります。日本語 CAIQ評価レポートを公開されていて、このサイトにリストされていないものがありましたら、以下のメールアドレスまでご連絡ください(注意: @の前後のクオーテーションを削除してください)。 info’@’cloudsecurityalliance.jp

以上

CSAの認証制度:STAR認証について

STAR認証について

2021年10月7日
CCM/STAR WGメンバー: 諸角昌宏

本ブログでは、CSA(Cloud Security Alliance)が提供するSTAR(Security, Trust & Assurance Registry)認証について、その概要、特徴、利用方法、CSAジャパンの活動について説明します。特に、STARレベル1(セルフアセスメント)について、プロバイダがクラウドサービスの自己評価レポートをCSA本部のウエブサイトより公開する方法について記述します。

  1. STAR概要

    STARは、CSAが提供するクラウドセキュリティの認証制度です。大きなフレームワークは以下の図1で示すように、3つのレベルを持っています。また、それぞれのレベルに対して、「セキュリティ認証」と「プライバシー認証」の2つのカテゴリーがあります。

    図1 STARフレームワーク

まず、「STAR認証レベル」について説明します。

  • STAR Level1

    STAR Level1はセルフアセスメントです。これは、クラウドサービスプロバイダが、CSAが提供しているCAIQ(Consensus Assessment Initiative Questionaire)に基づいて、自身が提供するクラウドサービスのセキュリティを独自に評価し、CSAのウエブサイト(https://cloudsecurityalliance.org/star/registry/)から公開するものです。CAIQは、CSAが提供するクラウドセキュリティの管理策集であるCCM(Cloud Control Matrix)のそれぞれの管理策について、いくつかの質問形式にブレークダウンしたものです。質問形式になっているため、クラウドサービスプロバイダは「YES」「NO」で回答することができます。また、回答に対するコメントを入力し、追加の情報を記述することができます。
    STAR Level1の特徴は、クラウドサービス利用者が、利用しようとしているクラウドサービスが自組織のセキュリティ要求事項を満たしているかどうかを、公開されている情報をもとに確認できることです。つまり、プロバイダの透明性が実現できているということになります。また、プロバイダの立場では、セキュリティ情報を積極的に公開することで、たくさんの利用者に対して統一したメッセージを出すことができますし、この情報をビジネス上の差別化要因として利用することもできます。
    STAR Level1の登録方法について、以下のウエブサイトに日本語で記述していますので参照してください。
    https://www.cloudsecurityalliance.jp/site/?page_id=1005

 

  • STAR Level2

    STAR Level2は、第三者評価になります。クラウドセキュリティの評価としてCCMを使用しますが、以下の示す他の業界認定や標準を基にして、クラウドセキュリティを評価しています。

    • CSA STAR CERTIFICATION: ISO/IEC 27001
    • CSA STAR ATTESTATION: SOC2
    • CSA C-STAR: GB/T22080-2008

STAR Level2の特徴は、認証だけでなく成熟度も評価していることです。クラウドサービスの成熟度を「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」のレベルとして認定します。
以下の図はSTAR CERTIFICATIONを表しています。

図2 CSA STAR CERTIFICATION 成熟度モデル

  • STAR Level3

    STAR Level3は、継続的モニタリングです。認証取得後も、その対応状況を継続的にモニタリングし保証する制度で、FedRAMPなどのハイレベルの情報を扱う際に要求されているものです。こちらは、まだ準備中になりますので、提供され次第ご案内できると思います。

それから、Level1、Level2には、Continuous Self-assessmentがあります。これは、通常の1年に1回の認証に対して、より頻度を上げた認証を行うようにしたものです。

次に「セキュリティ認証」と「プライバシー認証」について説明します。

  • セキュリティ認証

    セキュリティ認証は、上記で記述したように、CCMあるいはCAIQを用いて認証を行うものです。

  • プライバシー認証

    プライバシー認証は、クラウド環境におけるデータ保護法令遵守に必要な要件を定義した管理策であるCode of Conduct for GDPRを使用して認証を行うものです。GDPR向けの行動規範に準拠しているかどうかを認証します。

 

  1. STAR認証の特徴

    STAR認証では、今までの認証制度の課題として以下の3点を挙げ、それぞれに対して取り組んでいます。

    • 認証の継続性

      認証は「ある時点 (point-in-time)」あるいは「ある期間 (period-of-time)」を対象とするアプローチです。これは、変化の激しいクラウド環境においては不十分であることが指摘されています。STAR Level1/Level2 Continuous Self-assessmentでは、頻度を上げた形での認証を行うことで、より現実に近い認証を行っています。これにより、クラウドサービス利用者に対して、セキュリティ管理策の実施状況に関する詳細な最新情報を提供できるようになります。また、STAR Level3が提供されるようになると、よりリアルタイムに近い認証が実現できることになります。

    • 認証の透明性

      第三者認証(STAR認証ではLevel2)では、クラウドサービスの可視化を高いレベルで確保することが難しいです。STAR認証の各レベルは、それぞれ独立して運用するのではなく、組み合わせることでより高いレベルの認証を実現できます。たとえば、Level1とLevel2を組み合わせることで、高い保証(第三者認証)と高い透明性(セルフアセスメント)の両方を実現できます。以下の図は、STAR認証の各レベルの関係を表現したものです。

      図3 保証と透明性

    • 相互認証スキーム

      STAR認証のベースになるCCMは、数多くの国単位/分野単位の基準/規格へのマッピングを提供しています。CCMでは、各規格とのマッピングとリバースマッピングを提供し、それぞれの規格との差異(ギャップ)を分析し、その情報を公開しています。理想としては、1つの認証を取得することで、その他の認証に関してはギャップ分だけやればよいことになり、1つの認証の取得から別の認証の取得までの労力を最小化することができます。あくまで最小化のレベルであり、これで相互認証できるというわけではないことは注意が必要ですが、様々な組織(EU-SECやFedRAMPなど)とのフレームワークの検討が進んでいますので、その進捗に期待したいと思います。

  2. STAR認証に対するCSAジャパンの取り組み

    CSAジャパンでは、以下の取り組みを行っています。

    • STAR認証に関する情報発信

      以下のウエブサイトを参照してください。
      https://www.cloudsecurityalliance.jp/site/?page_id=429

    • CCM/CAIQの日本語化および情報発信

      以下のウエブサイトを参照してください。
      https://www.cloudsecurityalliance.jp/site/?page_id=2048#ccm

    • STAR Level1(セルフアセスメント)の日本語での公開

      CAIQの評価レポートを日本語で作成し、それを公開する手順について以下のウエブサイトを参照してください。
      https://www.cloudsecurityalliance.jp/site/?page_id=1005

    • 日本語CAIQ評価レポートを登録されたプロバイダ・クラウドサービスの公開

      CSAジャパンでは、STAR Level1 セルフアセスメントの登録において、日本語CAIQ評価レポートを登録されたプロバイダおよびそのクラウドサービスに関する情報を公開しています。CSA本部のSTAR Registryでは、CAIQ評価レポートとして日本語で提供されているかどうかを判断するのが難しいです。そこで、CSAジャパンでは、日本語CAIQ評価レポートを登録されたプロバイダ・クラウドサービスの情報を公開することで、日本の利用者が利用できるようにしています。
      公開ウエブサイトは以下になりますので参照してください。
      https://www.cloudsecurityalliance.jp/site/?page_id=19811

以上

 

MS、アマゾン、グーグルらがクラウドデータの保護など目指す「Trusted Cloud Principles」について

Microsoft、Amazon、Googleらが、「Trusted Cloud Principles」という新たな業界イニシアチブを発表しました。これから関わってくる可能性が高いと思われるので、その内容について翻訳してみました。なお、ここの翻訳は、あくまで個人的に行ったものであり、正式な形で翻訳の承認を取ったものではないことに注意してください。ここの訳はおかしいよというところがありましたらご指摘ください。
原文は、こちらです。

Trusted Cloud Principles(信頼できるクラウドの原則)

原則

世界中の組織は、イノベーションを推進し、セキュリティを向上させ、新しいデジタル経済で競争力を維持するためにクラウドテクノロジーを採用しています。クラウドサービスプロバイダとして、国境を越えて利用されるサービスとインフラストラクチャを運用することにより、あらゆる規模の企業、公共部門のエンティティ、非営利団体を含むこれらの組織をサポートします。

Trusted Cloud Initiativeは、イノベーション、セキュリティ、プライバシを妨げる国際的な抵触法を解決し、クラウドにデータを保存および処理する組織の基本的な保護を確立および確保するために、世界中の政府と組んでいくことを目指しています。このイニシアチブを通じて、私たちは政府と協力してデータの自由な流れを確保し、公共の安全を促進し、クラウド内のプライバシとデータセキュリティを保護することを約束します。

このイニシアチブは、社内の人権影響評価を実施するなど、この分野で各企業が行った既存の取り組みに基づいています。これは、企業が取り組むベースラインとして機能します。

クラウドプロバイダとして、以下を主張します;

  • グローバルクラウドサービスを使用する個人および組織の安全性、セキュリティ、プライバシ、および経済的活力を保護することへの世界中の政府の関心を認識します。
  • 国際人権法がプライバシの権利を大事にしていることを認識します。
  • 利用者の信頼と、利用者のデータの管理とセキュリティの重要性を認識します。これには、利用者がクラウドで所有するデータの保護と、その信頼を確立、維持、強化する製品とポリシーの作成の両方が含まれます。
  • 国際的に認められた法の支配と人権基準を遵守する透明なプロセスを通じて、政府がデータを要求できるようにする法律をサポートします。
  • データアクセス、プライバシ、および主権に関連する抵触法を解決するための国際的な法的枠組みをサポートします。
  • データアクセス、プライバシ、および主権に関連する抵触法を解決するための国際的な法的枠組みをサポートします。
  • クラウド利用者の安全性、プライバシ、セキュリティ、およびデータの所有権を保護する、国内および国際レベルでの改善された規則と規制をサポートします。
  • 政府のデータ要求に関する集計統計を詳述する透明性レポートを定期的に公開することの重要性を認識します。

私たちの目的を達成するために、私たちは世界中の技術部門、公益団体、および政策立案者と協力し、特にデータセンタとクラウドインフラストラクチャを運用または運用する予定の国で、法律とポリシーが実質的に次の原則に沿っていることを確実にします。

政府は、狭い例外を除いて、最初に利用者を関与させる必要があります。政府は、例外的な状況を除いて、クラウドサービスプロバイダではなく、企業の利用者から直接データを手に入れようとする必要があります。

利用者は通知を受ける権利を持っている必要があります。政府がクラウドサービスプロバイダから直接利用者データにアクセスしようとする場合、そのクラウドサービスプロバイダの利用者は、データへの政府アクセスの通知を事前に通知を受ける権利を有する必要があります。その通知は、例外的な状況においてのみ遅らせることができます。

クラウドプロバイダーは、利用者の利益を保護する権利を持っている必要があります。関連するデータ保護当局への通知を含め、クラウドサービスプロバイダーが利用者のデータに対する政府のアクセス要求に異議を申し立てる明確なプロセスが必要です。

政府は法の抵触に対処する必要があります。政府は、ある国でのクラウドサービスプロバイダーの法令遵守が別の国での法律違反にならないように、相互の対立を提起し解決するメカニズムを作成する必要があります。

政府は国境を越えたデータの流れをサポートする必要があります。政府は、イノベーション、効率、セキュリティのエンジンとして国境を越えたデータの流れをサポートし、データの常駐要件を回避する必要があります。

認証基盤のモダン化とCASBのValue

三井情報株式会社
橋本 知典

今回は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に必要な認証基盤のモダン化とCASBのValueについて説明していく。

■2025年の崖

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」では、DXの実現ができない場合、2025年以降最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると推定している。2020年は新型コロナウイルスの影響でテレワークが必要になり、セキュリティ対策の不備等、企業は環境に合わせて自社のビジネスを迅速に変革しなければ生き残ることができない問題に直面した。この問題は正に「2025年の崖」問題の先触れといえる。

企業は、DXに取り組むことが求められているが、DX推進に向けた大きな課題としてレガシーシステムの刷新がある。2025年には21年以上の基幹系システムを抱える企業が6割を超える。レガシーシステムを刷新しない場合、保守切れのシステムが増え、保守運用費のコストが大きくなる。またIT人材が不足していくと予想され、多くの技術的問題を抱え、運用が困難になることが想定される。さらに、システムのサポート終了などにより、障害によるシステムトラブル、サイバー攻撃によるデータ流出等のリスクが高まる。

図1 2025年の崖

2020年12月には、経済産業省からデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に向けた研究会の中間報告書「DXレポート2(中間取りまとめ)」が公表された。国内223企業がDX推進状況を自己診断した結果、2020年10月時点で9割以上が未着手や一部での実施の状況であり、想定以上に進捗が悪いことが判明した。

【引用元】
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004.html

■認証基盤のモダン化

「2025年の崖」問題に対する打開策としては、基幹系システムなどをクラウドサービスにマイグレーションすることである。クラウドサービスを活用することで、時間や手間をかけずに基幹システムを移行でき、業務標準化による生産性向上やコストの削減を容易に実現することができる。政府から「クラウド・バイ・デフォルト原則」の方針が出て、クラウドサービスの利用に主軸を置いたITモダナイゼーションが進められ、クラウドの信頼性も大幅に向上してきている現在であれば、安心して移行できるだろう。

クラウドサービスにマイグレーションした場合、IDの認証の連携先としてSAMLなどの認証プロトコルに対応した認証基盤が必要である。多くの企業は認証基盤にオンプレミスのActive Directory(AD)を利用しているが、AD単体ではクラウドサービスとの連携ができない。

また、昨今のサイバー攻撃の多様化・高度化により社内であっても安全とは言えず、オンプレミス環境は徐々にリスクが高まっている。特にランサムウェアは従来型とは変わってきており、企業に搾取した情報を公開すると脅し、高額の身代金を要求する暴露型のものが増えてきた。実際にADの乗っ取りや個人情報が漏えいした事例もある。サイバー攻撃を検知するにもオンプレミス環境では対策ソリューションの導入コストや運用負荷が大きくなる。

これらの課題に対し、認証基盤をモダン化することで解決ができる。クラウド認証基盤であれば、クラウドサービスとも連携でき、サイバー攻撃対策の強化やクラウドサービス毎のIDを一元管理することができるなど、セキュリティ面でも対策を進めることができる。また、境界ネットワークがなくなり、いつでも、どこからでも安全にシステムが利用可能になり利便性も向上する。

図2 認証基盤のモダン化

■CASBのValue

認証基盤のモダン化が進むと、基幹系システムや多くのオンプレミスのシステムがクラウドへ移行しやすくなる。そして最終的にはオンプレミスのシステムを無くすことができ、システムの全てをクラウドサービスに移行する企業も増えてくる。そこで新たな問題として、複数のクラウドサービスの管理やセキュリティが課題になる。クラウドサービスへの統一した組織のセキュリティポリシーの適用やガバナンスの強化が必要になるだろう。

CASBは企業でクラウドサービスの活用が増えるほど真価を発揮する。もしクラウドサービス毎にセキュリティ対策を個別で行った場合、コストが高額になってしまう。CASBを導入すれば複数のクラウドサービスに対し、CASBのコストのみでセキュリティ対策が可能になる。また、CASBでは一つの管理画面から連携しているクラウドサービスのポリシー設定が可能であり、統一したポリシー管理が可能である。他にも、クラウド認証基盤と連携することで、リバースプロキシアーキテクチャによりエージェントレスで、連携したクラウドサービス内のファイルダウンロードなどのアクティビティに対し、リアルタイムでセッション制御が可能になる。例えば、社給端末以外からクラウドサービスのファイルの閲覧はできるが、機密情報のファイルのダウンロードをできないように制御が行えるなど、高度な情報漏洩対策ができる。このようにコスト面・管理面・セキュリティ面でもCASBのValueはさらに上がっていくことが想定される。

以上のように、企業は「2025年の崖」問題の対策として、認証基盤のモダン化を行い、基幹システムをクラウドサービスに刷新していくことでDXを促進できるだろう。そしてクラウドセキュリティ対策として今一度CASBの活用を検討してみてはどうだろうか。

〈お断り〉
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業・団体及びその業務と関係するものではありません。

クラウドコンピューティングの進化と新たな責任共有モデル

本ブログは、Vishwas Manral, Founder and CEO at NanoSec, CSA Silicon Valley Chapter のブログ(The Evolution of Cloud Computing and the Updated Shared Responsibility、https://cloudsecurityalliance.org/blog/2021/02/04/the-evolution-of-cloud-computing-and-the-updated-shared-responsibility/)の日本語版で、著者の許可のもとに翻訳し公開するものです。原文と日本語版の内容に相違があった場合には、原文が優先されます。

 

クラウドコンピューティングは、過去10年間変化し続けてきた。このブログは、コンテナ、機能、ローコード、ノーコードの成長によるクラウド状況の変化の結果として、今までのサービスモデルがもはや十分ではないということの理由について説明する。

このブログでは、さまざまなパラダイムの責任共有モデルについても説明し、将来の方向性について検討する。

サービスモデル(SaaS, PaaS, IaaS)の背景

米国国立標準技術研究所(NIST)は、2011年に、3つのサービスモデル、4つの配備モデル、5つの主な特性で構成されるクラウドコンピューティングの定義を提供した(NIST Special Publication800-145)。

このドキュメントは、特にクラウドサービスとクラウド配備戦略を比較する際に、その標準とガイドラインを提供する手段として機能し、クラウドコンピューティングの最適な使用法のベースラインを提供することを目的とした。

3つのサービスモデルは、SaaS(Software-as-a-Service)、PaaS(Platform-as-a-Service)、IaaS(Infrastructure-as-a-service)である。これはすでに過去のことであり、モデルは新しいプラットフォームを包含するように進化する必要がある。

重要な変化の推進力としてのイノベーションとソフトウェア開発

市場に新しく差別化された価値をもたらすことは今や競争上の必要性であり、反復可能な方法でより迅速にイノベーションを実現するために最も組織化された企業が市場のリーダーとなる。企業におけるクラウドコンピューティングの配備は、成熟し、変化を遂げており、新しい価値をもたらし、ソフトウェアが変化の原動力となっている。

このことは、インフラストラクチャ層、サービス層、アプリケーション層に当てはまる。ここでは、急増するコンテナ、Kubernetes(K8s)の台頭、エッジコンピューティングの出現、サーバーレスアーキテクチャの幅広い採用を見ることができる。開発者に提供されるすべてのサービスが、より早く市場に価値をもたらすことを可能にしている。

新しいアーキテクチャを2011年のSaaS-PaaS-IaaSフレームワークに適合させようとすることは、丸い穴に四角いペグを適合させるようなものだ。

新しいサービスモデル

中核となるのは、*クラウド*責任共有モデルが、クラウドプロバイダ(Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、あるいはより総称的にプラットフォームプロバイダ)とクラウド利用者またはアプリケーション所有者(エンタープライズおよびスタートアップ)の間の責任の明確な境界を提供する。

次の図は、さまざまなサービスモデル間における責任の違いを示している。

いくつかの重要なポイント:

徐々により多くの責任がプラットフォームプロバイダによって引き受けられ、アプリケーション所有者をアプリケーションロジック以外の責任から解放している。

右に移動していくと、プラットフォームプロバイダがより多くの責任を負うため、運用コストとオーバーヘッドが削減される。

NoCode/SaaSのようなプラットフォームになると、開発者の責任自体が縮小する。筋金入りのプログラマではない開発者という新しいレベルの台頭につながっている。

IaaS、PaaS、SaaSに加えて、それ以降に進化した新しいサービスモデルを以下に定義する。

Managed K8s as a Service (K8s-aaS)

Managed Kubernetesは、ほとんどのクラウドプロバイダによって提供されるサービスとして最も広く使用されているManaged Service Control Plane as a service(CPaaS)である。ここでは、Kubernetesコントロールプレーンはプラットフォームプロバイダによって管理され、アプリケーション所有者がオプションで提供するコントロールプレーン(別名K8sマスターノード)構成を使用する。データプレーンのライフサイクルとその管理は、アプリケーションの所有者が行う。

これは、アプリケーションにデータプレーンからの特定のニーズがある場合、追加の運用オーバーヘッドよりもコスト最適なスケールアウトが大きな考慮事項である場合、あるいはアプリケーションがマルチクラウドに移植可能なアプリケーションであることが必要な場合に最適である。

例としては、Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)、Azure Kubernetes Service(AKS)、Google Kubernetes Engine(GKE)がある。AWS Elastic Compute Service(ECS)は、Kubernetes以外のマネージドコントロールプレーンサービスの例である。

Container-as-a-Service (CaaS)

CaaSの場合、アプリケーションの所有者がアプリケーションコンテナを提供し、プラットフォームプロバイダがコントロールプレーンとデータプレーンの両方を管理する。つまり、アプリケーションユーザは、CPaaSによって提供されるすべての機能に加えて、サーバー(VM)、ホストOSのスケーリングとパッチ適用、サーバーの起動と停止を管理する必要がなくなる。

これらのサービスは、アプリケーションの所有者が多くのサーバー管理の責任から解放されるため、サーバレスとも呼ばれる。このサービスは、イベントドリブンアーキテクチャではなく、アプリケーションの所有者がスケールアウトのコストをあまり気にしない場合に最適である。

Containers-as-a-Service(CaaS)ソリューションの例としては、Amazon Web Services(AWS)Fargate(ECSFargateとEKSFargateの両方)、Azure Container Instances(ACI)、GoogleCloudRunなどのソリューションがある。

Function-as-a-Service (FaaS)

FaaSの場合、アプリケーションの所有者は、機能を実行するレイヤーとともにビジネスロジックを提供する。これらの機能は、サービスプロバイダによって構築、パッケージ化、および実行される。サービスコントロールプレーンとデータプレーンは、サービスプロバイダによってすべて処理される。

このサービスは、イベント駆動型のステートレスアプリケーションに最適である。

このサービスの例としては、AWS Lambda、Azure Functions、Google CloudFunctionsがある。

NoCode-as-a-Service (NCaaS)

NCaaSでは、コードロジックはアプリケーションの所有者によって提供される。サービスプロバイダは、仕様と構成からコードを生成し、ソフトウェアをビルド、パッケージ化、および実行する。

これと似ているがわずかに異なるもう1つのバージョンは、Low-Code-as-a-Service(LCaaS)である。

コーディングがほとんど必要ないため、これらのプラットフォームは、技術者でないユーザーでもアプリケーションを作成できるように設計されている。これは、今後数年間で驚異的な成長が見られ、ソフトウェア開発者の大幅な増加をもたらす。

このサービスの例としては、Azure Power Apps、Google AppSheet、AWSHoneycodeがある。

Serverless(サーバレス)

サーバレスプラットフォームを使用すると、開発者は開発と配備をより迅速に行うことができ、コンテナクラスタや仮想マシンなどのインフラストラクチャを管理しなくてもクラウドネイティブサービスに簡単に移行できる。

例:上記のモデルでは、CaaS / FaaSおよびNCaaSプラットフォームはサーバレスとして扱われる。

アプリケーションのプラットフォームの選択

次の図は、アプリケーションの所有者がサービスに使用するクラウドプラットフォームを決定する際にその方法の概要を示している。

 

まとめ

まとめると、アプリケーションの将来の展望は非常に多様で、高度にハイブリッドでマルチクラウドである。エンタープライズクラウドコンピューティングプラットフォームには、サーバレスアプリやサーバアプリ、オンプレミス、クラウドなど、さまざまなインフラストラクチャ、サービスレイヤー、APIが含まれる。

「ワンサイズですべてに対応」するモデルや経験則はない。真のクラウド方式においては、組織の変化に応じて進化するスケーラブルでセキュアな環境をサポートするための機敏で弾力的な決定が必要である。

 

SASEの登場とゼロトラストを実現するCASBのカバレッジ

タイトル:「SASEの登場とゼロトラストを実現するCASBのカバレッジ」

三井情報株式会社
橋本 知典

今回は、SASE(セキュア・アクセス・サービス・エッジ)の概要とCASBとの関係性、ゼロトラストを実現するCASBのカバレッジについて説明していく。

■CASBの現状

ガートナージャパンが日本におけるセキュリティ (デジタル・ワークプレース) のハイプ・サイクル:2020年を発表した。CASBについては幻滅期に入ったとされている。「過度な期待」のピーク期は過ぎたが、CASB市場規模は2018年頃より急拡大してきており、今後も市場は拡大していくと予想されている。今回の発表では新たにSASEとゼロ・トラスト・ネットワーク・アクセスが追加された。今回、SASEはCASBと関係性があるため紹介する。

図1 日本におけるセキュリティ (デジタル・ワークプレース) のハイプ・サイクル:2020年
出典:ガートナー

■SASEの登場

SASEはガートナー社が2019年に提唱した新しい概念である。SASEのコンセプトは包括的なネットワーク機能と包括的なネットワークセキュリティ機能をクラウド上で1つのサービスに統合し提供することである。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業が安全にクラウドサービスにアクセスするニーズに対応している。このSASEのネットワークセキュリティ機能の中にCASBが含まれている。

今後SASEの需要が増加していき、2024年までに企業の40%がSASEの導入を計画することが予想されている。提供元、提供形態も別であったCASBやSD-WANなどのサービスが1つに統合されていくことにより、効率的な投資が可能になる。現状ではSASEの機能全体を提供できるようにベンダーが買収などを行いながら機能拡張に力を入れている段階である。企業のDX推進に向けて必要な企業ネットワークとネットワークセキュリティの新たな変革の機会をSASEは提供していくだろう。

図2 SASEとCASBの関係

■ゼロトラストを実現するCASBのカバレッジ

SASEはゼロトラストというセキュリティモデルを基にしている。ゼロトラストは「すべてのアクセスを、信頼されていないネットワークから発信されたものとして扱う」という考え方を根底にしたセキュリティモデルである。NIST(National Institute of Standards and Technology:米国立標準技術研究所)からは「SP 800-207 Zero Trust Architecture」がリリースされている。SP 800-207ではゼロトラストが誕生した背景や、ゼロトラストを実現する原則などの基本的な考え方が定義されている。このゼロトラストに照らした時のCASBのカバレッジについて確認していく。

ゼロトラストでは、全てのデータソースとコンピュータサービスは、リソースと見なされるとしている。クラウドサービスもリソースの1つとして考えられており、クラウドサービスの特定を行う際に、CASBの可視化機能が有用である。

ゼロトラストでは、ネットワークの場所に関係なく、通信を全て保護するべきとされている。CASBは境界ネットワークの内側、外側のどちらの場所であってもクラウドサービスへの通信の可視化や制御ができる。

ゼロトラストでは、リソースへのアクセスは、全て個別のセッションごとに許可し、ユーザやデバイスの評価、データの重要度を基にポリシーを決定するべきとされている。CASBはIDaaSと連携することができる。それにより複数のリスク要因に応じて、特定のクラウドサービスへのユーザのアクセスを細かくブロックできる。また、クラウドサービス内の機密性の高いコンテンツをスキャンし、リアルタイムでファイルダウンロードなどのアクティビティをブロックすることもできる。

ゼロトラストでは、組織が所有するシステム、ネットワーク、通信を監視して、安全な状態であることを確認し、セキュリティを高めていくことも重要とされている。CASBはクラウドサービスと、クラウドサービスへの通信の状態(トラフィック、詳細アクセスログ)を継続的に監視して情報を取得し、脅威を分析して通知できる。そして、対策をするために新たなポリシーを作成して適用し、セキュリティの改善を行っていくことができる。

以上のように、ゼロトラストにおいてCASBのカバレッジは広く、今後SASEが普及していく中でも中核の機能として取り扱われていくだろう。

〈お断り〉
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業・団体及びその業務と関係するものではありません。

SPA (Single Packet Authorization)解説

SPA (Single Packet Authorization)解説

2019年8月27日
CSAジャパン
諸角 昌宏

本ブログは、SDP(Software Defined Perimeter)の中核の技術であるSPA (Single Packet Authorization)が、どのようにゼロトラスト環境で有効であるかについて説明します。特に、インターネット上に安全なサービスを提供するため、認証が取れるまでは全てのアクセスを拒否する”Deny-ALL”が、どのように実現できているかについて説明します。

インターネットのアクセスにおける課題とSPA

リクエスト-レスポンス型であるインターネットのアクセス方法は、クライアントからのリクエストを受け取るために必ず口(ポート)を開けて待っています。これは、正しいユーザだけでなく、悪意のある人にも開いているということで、セキュリティ上の問題を引き超す可能性を高めています。悪意のある人は、ポートスキャン等を行って、インターネット上に開いているポートを探し、それに紐づくサービスを特定し、そのサービスの脆弱性を突いて攻撃を仕掛けることができます。また、開いているポートに対してSYNフラッド攻撃によりDoS/DDoS攻撃を行い、サーバを接続不能にすることができます。
このようにインターネットがもともと抱えている課題に対して、アクセスが許可されるまでは全てのポートを閉じておくという、いわゆる”Deny-All”を実現することで対処することが求められています。このための方法として、大きく以下の2つがあります:

  •  ポートノッキング
  • SPA

これらについて、以下で説明していきます。

ポートノッキング

ポートノッキングは、決められたポートを決められた順番でアクセスすることでファイアーウォールに穴を空ける仕組みです。例えば、ポート1000、2000、3000に対して順番にTCP SYNパケットを送った場合のみ、ポート22 (SSH) へのアクセスが許可されるというような設定ができる機能になります。この場合、最初の状態ではポート22は閉じられており、ポートノッキングに定義されたTCP SYNのシーケンスが来た時のみ、一定時間ポート22を開放します。クライアントは、この開放している時間内にポート22に対してアクセスすることで接続できます。これにより、通常はDeny-Allの状態を維持しつつ、決められたポート番号に決められた順番でパケットが送られてきた時のみアクセスを許可するということが実現できます。

したがって、ポートノッキングには以下のようなメリットがあります。

  • パケットはデフォルト・ドロップ
    サーバに送られてくるパケットは、デフォルトでは全てドロップすることが可能になります。つまり、Deny-allを実現できます。これにより、サーバが提供しているサービスを非可視化することができ、サービス自体を悪意のあるアクセスから保護することができます。
  • ポートスキャンしても空きポートを見つけることができない
    悪意のある攻撃者がポートスキャンを行っても、開いているポートや稼働しているサービスを見つけることができません。したがって、悪意のある攻撃が非常に困難になります。
  • DoS/DDoS攻撃を最小化できる
    ポートノッキング用のシーケンスにならないパケットは全てドロップされますので、SYNフラッド攻撃のようにもともと開いているポートに対する攻撃を行うことができなくなります。

一方、ポートノッキングには以下のようなセキュリティ上の問題があります。

  • リプレイ攻撃に弱い
    ポートノッキングに利用するパケットは、暗号化されずにそのままネットワーク上を流れます。したがって、ネットワークを盗聴し、クライアントからのパケット・シーケンスをそのまま送ることで接続できてしまいます。
  • 悪意のある第三者によるポートノック用のシーケンスの破壊
    正しいクライアントに代わってポートノック用のシーケンスの一部を送ることで、シーケンスそのものを破壊することができます。
  • IDSあるいはポートスキャンによるポートノック用のシーケンスの探索
    ポートノック用のシーケンスは一連のパケットの流れになるので探索が可能です。

SPA

SPAは、ポートノッキングの利点を持ちながら、ポートノッキングの課題に対処したものになります。” Software-Defined Perimeter: Architecture Guide”では、SDPの最も重要な要素の1つである「接続前認証(authenticate-before connect)」を実現するために、SPAを通してこれを実現していると述べています。また、このガイドでは、SPAはデバイスまたはユーザの身元を検証し、それから追加のアクセス制御を実施するシステムコンポーネント(コントローラまたはゲートウェイ)へのネットワークアクセスを許可するだけの軽量プロトコルで、これは、TCP / IPの根本的にオープンな(そして安全でない)性質を補うものとしています。SPAにより、要求者のIPアドレスを含むリクエスト情報は、単一のネットワークメッセージの中で暗号化および認証が行われ、デフォルトドロップのファイアウォールを通してサービスを見えなくすることができます。

SPAはプロトコルとして、SDP 1.0の中に仕様として記述されていますが、従わなければならないというような厳格な仕様では無いようです。したがって、SPAは実装の仕方においていくつかの異なる方法が取られています。ただし、SPAを実装するにあたっては、以下の3つの共通の原則を備えることを要求しています。

  • SPAパケットは、暗号化し、認証機能を持たなければならない。
  • SPAパケットは、必要な情報をすべて1つのパケットの中に含めなければならない。
  • SPAパケットを受け取ったサーバは、応答しないし、何も送信しない。

ここでは、SPAの実装方法を説明するにあたって、fwknopが提供するオープンソフトウエアを参照します。これは、LINUX JOURNAL Issue #156, April 2007 ” Single Packet Authorization fills the gaps in port knocking.”の内容を元にしてします。

  • SPAパケットの構成
    fwknopが用いるSPAのパケットは、以下の構成になります。

    • 16バイトのランダムデータ
    • クライアント・ユーザ名
    • クライアント・タイムスタンプ
    • fwknop バージョン
    • モード (アクセス、あるいは、コマンド)
    • アクセス (あるいは、コマンドストリング)
    • MD5 チェックサム

これらのフィールドの内容について以下に説明します:

  • 16バイトのランダムデータ、および、MD5 チェックサム
    16バイトのランダムデータを含み、パケット全体のMD5チェックサムを持つことで、1つ1つのSPAパケットが必ずユニークになることを保証します。これにより、サーバ側では、以前来たことのあるパケットと同じパケットが来た場合には、リプレイ攻撃であると判断し、接続を許可しないということができます。
  • クライアント・ユーザ名、クライアント・タイムスタンプ
    クライアント・ユーザ名、クライアント・タイムスタンプは、もう一段のレベルの認証・認可をサーバ側で行うのに用いられます。
  • fwknop バージョン
    fwknopとして、SPAのバージョン管理、特にバックワード互換性に用いられます。
  • モードとアクセス
    サーバ側に、クライアントからの要求が、サービスへのアクセスなのかコマンドの実行なのかを示します。たとえば、SPAでコネクションが許可された後、SSH(TCPポート22)のアクセスを許可するように設定できます。アクセスの場合には、アクセス・フィールドに直接ストリングを含めます。

この例を元に、SPAの特徴をまとめると以下になります:

  • Deny-Allの実現
    SPAパケットがクライアントからサーバに送られても、サーバがこれに応答することはありません。サーバは単にネットワーク上送られてくるパケットをスキャンする(たとえばlibpcapなど)だけで、SPAパケットでないものは全てドロップし、SPAパケットを受け取ると、その内容に基づいてクライアントとの接続を許可するかどうかを判断します。
  • リプレイ攻撃への対処
    上記の例では、1パケットの中に16バイトのランダムデータを含み、全体のパケットのハッシュ値を入れています。これにより、SPAパケットがユニークになることを保証します。サーバ側では、今まで来たパケットと同じパケットが来た場合には、リプレイ攻撃であると判断し、接続を許可しないということができます。
  • DDoS攻撃への対処
    Deny-Allであること、また、SPAパケットは1パケットであり、シーケンスではないことにより、DDoS攻撃の可能性を非常に下げることができます。
  • パケット・シーケンスの探索や破壊への対応
    SPAパケットは1パケットであることから、スプーフィングしたり解析したりすることが難しくなります。
  • 様々な認証情報の送信が可能
    SPAパケットの中には、様々な情報を含めることが可能なため、クライアントのユーザ名など、ユーザに対応した追加の認証等の処理が可能になります。

以上のように、SPAは、ポートノッキングのメリットを維持しつつ、課題を解決し、ゼロトラスト環境における最適なネットワーク環境を提供できるものと考えています。また、ここでは触れませんが、SDPが他に提供している機能(mTLS等)とSPAが組み合わされることにより、ゼロトラスト環境におけるさらに強固なネットワークセキュリティが提供できます。

なお、SPAは、fwknopからオープンソースとして提供されていますので、さらに理解を深めていただければと思います。

 

本当のSDPよ立ち上がれ! ~ Will the real SDP please stand up?

本ブログは、Optiv Security Inc.が公開している “Will the real SDP please stand up?” の日本語版になります。本ブログは、著者およびOptiv Security Inc.の許可を得て翻訳し、公開するものです。本ブログの内容と原文の間で相違があった場合には、原文が優先されます。


本当のSDPよ立ち上がれ!

原文: 2019年7月10日
日本語版: 2019年7月23日

Software Defined Perimeter(SDP)という用語は、ゼロトラスト(Zero Trust)モデルで安全なアクセスを提供するための新たなアジャイルな方法として最近普及してきています。SDPは、クラウドセキュリティアライアンス(CSA)によって定義された要件で、VPN /ファイアウォール/ NACの組み合わせよりも効果的で安全な方法でリモートアクセス機能を提供します。

ただし、SDPはアーキテクチャ的に異なる点があるため、多少新たな考え方が必要です。SDPは、データプレーンとコントロールプレーンを分離するネットワークの概念に基づいて作られています。これは、認証コンポーネントを拡張したポリシー決定ポイント(PDP)とポリシー実行ポイント(PEP)モデルになります。SDPの認証プロセスにおいては、「コントローラ(Controller)」はアクセスを認証するためのポリシー決定ポイントであり、「ゲートウエイ(Gateway)」はサービスへのアクセスに許可または拒否を与えるポイントになります。ゲートウェイから分離されたPDPトラフィックを使用することで、ハイブリッドクラウド環境全体でユーザーが同時にアクセスを許可される集中型のポリシーモデルと認証をサポートしているため、この機能は他のアプローチとの大きな違いになります。接続が確立され、ゲートウェイがユーザーに対して識別されると、ゲートウェイは、コントローラからの変更を定期的に確認しながら、デバイスの状態(device posture)や定義された条件に基づいてリアルタイムで決定を行うというハイブリッドな役割を果たします。これにより、コントローラが停止した場合の可用性が向上するだけでなく、障害ゾーンの分離とコントーラ/ゲートウェイのスケールアウトによりパフォーマンスも向上します。

SDPモデルは包括的で、アーキテクチャ的に異なる点があるため、従来のアクセスメカニズムやトンネリングには依存しません。つまり、SDPに加えてVPNやファイアウォールを必要とするものがあるとすれば、パフォーマンス、セキュリティ、アジリティに制限をかけるようなものであり、今日のリモートアクセスやハイブリッドクラウドにおけるワークロードの要求を満たさない可能性があります。

通信前の認証

SDPのもう1つのユニークな要素はSingle Packet Authorization(SPA)です。これは、すべてのネットワークセッションの最初のパケットで暗号化認証を要求し、許可されたクライアントだけがネットワークにアクセスできるようにします。

もともと2007年に作成されたSPAは、最初のネットワークパケットを暗号検証することで、DDoSに対する認証メカニズムを提供します。また、許可されたデバイスのみにサービスが公開されるため、エクスプロイトに対する保護も提供します。SPAで開始されていないTCPストリームはSDPによってドロップされ、コントローラまたはゲートウェイによって処理されることはないため、DDoSの影響を軽減します。SPAは、なりすまし防止や不正なデバイスによる保護されたリソースへのアクセスの防止など、DDoS防止以外の追加のセキュリティ対策を提供します。これにより、ユーザー名とパスワードが危険にさらされた場合に、資格情報を再利用する攻撃から保護されます。

SDPはどのくらい強力ですか?

2014年2月、CSAはSoftware Defined Perimeter ハッカソンのスポンサーとして、Black HatとDEFCONにSDPセキュリティを破ろうと挑戦する人のため環境を提供しました。世界全体で100億パケットを突破しましたが、攻撃は成功せず、賞品は求められませんでした。これは、SDPアプローチの長所をよく示しています。

私たちは、CSAのSDPワーキンググループに深く参加し、SDPソリューションをまとめることを経験しているSDP分野のリーダーです。ForresterとGartnerの業界調査の専門家が、今後数年間で安全なアクセス環境を大きく変えるであろうと予測しているゼロトラスト・ジャーニーにご参加ください。

原文 “Will the real SDP please stand up?” は、こちらを参照してください。

CASBWGリレーコラム第10回「CASBはデータガバナンスの登竜門となる?」

CASBはデータガバナンスの登竜門となる?

株式会社シマンテック
高岡隆佳

クラウドで活用するデータ、どこまで許可するか

企業はCASBによってマルチクラウドの利用を一元的に可視化、制御ができることは間違いないのだが、CASB製品の評価において顕著に見られるのが、「企業として取り締まるべき情報(データ)の定義があいまい」なことだ。製造業や金融機関などにおいては、いわゆる業界ごとに定められたガイドラインや、他社に漏れては困る開発・設計データなどが明確に定められているが、そうでない場合、部署ごとにデータの機密性についての捉え方が異なっているために、企業全体としての「データ取り扱い」に関するルールが設定できないことが多い。そんな中、ややフライング気味にクラウドシフトしてしまった企業は、いざCASBで情報流出対策を打とうという時に、肝心のポリシーを策定することができないのだ。

一方の欧米諸国の現状はどうなのだろうか。「訴訟大国」とも揶揄されるアメリカでは、各業種非常にコンプライアンスに厳しく、また会社では情報の取り扱いに対する教育を徹底する文化が根付いている。取引先の情報が自社から漏れることによるリスク、インパクトが明らかに日本に比べると段違いだ。それゆえに古くからDLP(情報流出対策)の導入が自然と進んでおり、「データの棚卸し」が自動化されている。(導入比率でいうと、欧米:日本=10:1ほどだ。)もちろん「どのようなデータがどこまで活用されることが許容されるか」といったデータガバナンスが根底にあるからこそだ。

よって欧米欧州ではオンプレミスに徹底されているデータ取り扱いに関するポリシー(DLPポリシー)を、自分たちが採用したクラウドに対してはCASB経由でポリシー適用するだけでよい。日本企業の大部分は、そもそもオンプレミスにしっかりとしたDLPポリシーがないのにも関わらず、CASBによりクラウド上のデータを保護しようとしても、適切なポリシーも設定できなければ、またCASBで取り締まったところでオンプレミスの端末やメール添付、ファイル転送といったデータ流出経路はまったく可視化できないため、クラウドシフト半ばの日本企業においては、情報流出対策として十分な投資効果が出るとは思えない。

CASBとクラウドの正しい利用

仮に企業としてのクラウド活用指針(データの機微度に応じたリスク対処方法を含む)を定義できたとしよう。さて、その際にどれだけの企業が機微度の高いデータをクラウドに預ける判断を取るだろうか。CASBベンダーの提供するデータ保護機能は様々だが、機微度の高いデータだからといってオンプレミスに大量にデータをかかえてしまうのであれば、結果としてオンプレミスとクラウド、運用とサーバ費用が二重投資となる。クラウドシフトに舵を切る以上は、限りなくデータをクラウドに安心して預けられる環境を構築したいところだ。

そのためにはCASBの暗号化機能を活用することをお勧めする。

特定のクラウドサービスの暗号化を用いた場合は、暗号鍵管理がほぼクラウド側になるだけでなく、複数のクラウドサービスを利用するのであれば、それぞれ個別で暗号化設定の管理が必要となり、またクラウドサービスごとにセキュリティレベルは異なるためガバナンスは効かせづらい。CASBであれば、ブローカーとしての役割を果たすことで、どのクラウドサービスにデータを転送する際も、CASB側で一意の暗号化や匿名化を施し、また鍵管理もデータを預けるクラウドサービス側とは別で一元管理、そして暗号鍵の担保が下記のように可能だ。

1.       ユーザ側は機微度に関係なくクラウドにデータを預けることが可能となる。

2.       データの機微度に応じた制御がCASBで自動実行される。(暗号化・匿名化)

3.       利用時は本人認証などを通じて透過的に暗号鍵がロードされデータ閲覧・編集が可能となる。

4.       すべてのデータアクセスはCASB管理者側で把握でき、不正な鍵要求が見られれば該当のファイルに対して鍵を破棄し、復号できないことを担保することも可能となる。(Digital Shuredding)

日本企業はどうしてもセキュリティを「止める、縛る」ことを前提に設計しがちだが、その思想ではクラウドの最大活用を阻害してしまう。しっかりとデータガバナンスを効かせつつ、透過的にリスクを排除していくためにCASBという技術は存在する。そのためには企業の中でデータ利用、クラウド利用の指針を今一度見直し、CASBの機能で担保できるリスクが何であるのかを理解した上でクラウドシフトを正しく進めていただきたい。

CASBWGリレーコラム第9回「クラウド利用者とクラウドプロバイダ:双方の言い分」

 クラウド利用者とクラウドプロバイダ:双方の言い分

CASBワーキンググループ ・リーダー
上田光一

CSAでは定期的に「クラウド利用者会議」という会合を開催している。これはクラウド利用者側の観点でクラウドに期待すること、あるいは課題などをディスカッションするもので、CSAジャパンの本ブログでも結果を議論の内容を紹介している。

先ごろ行われた会議で、どのようにクラウドプロバイダを選択すればよいかわからない、といったコメントがあった。プロバイダの公開情報や試用する中で業務への適合性は確認できるとしても、セキュリティの観点での差分が見えないというものである。

 一方、プロバイダ側コメントとして、不確定の伝聞情報で大変恐縮ながら以下のようなコメントがあったとのことであった。

  • プロバイダ側としてはセキュリティに関する情報なので非公開である
  • 仮に公開したとしても普通のユーザでは適切な判断ができるか懸念がある

 確かに利用者にとっては、クラウドを利用するに際してどのようにプロバイダのセキュリティレベルを判断すれば良いのかは課題である。利用者が自力で判断しようとするとき、プロバイダが公開しているセキュリティ情報を元にこれを行うことになるが、ここで欧米と日本で大きな違いがある。欧米のプロバイダの対応は、セキュリティ情報を積極的に公開することで利用者が判断できるようにする傾向が強い。いわゆる「透明性」を高めるということである。これは、また、セキュリティをビジネス上の差別化要因にできるという利点がある。

一方、日本のプロバイダはあまりセキュリティ情報を公開しない。どちらかというと、「セキュリティ情報を公開することはリスクを高める」という考えを持っている。取得している認証の情報を公開しているが、認証ではセキュリティの成熟度を把握することは難しい。このあたりは国内事情としてはやむを得ない印象を受ける一方で、米国はじめグローバルの事情とはかなり異なっている。

 

CSA本部のWebサイト、https://cloudsecurityalliance.org/では、以下のような情報を提供するページがある。

 CSA Security, Trust & Assurance Registry (STAR) https://cloudsecurityalliance.org/star/#_registry

 これはCSAが提唱する認証制度STARを一つの基準としつつ、STAR認証取得の有無に関わらずクラウドプロバイダ側が自社のセキュリティ対応状況を公開するページとなっている。クラウドプロバイダとしては、自社サービスの透明性と公正さをアピールする場にもなっている訳である。

一見して分かる通り米国プロバイダが圧倒的に多いのは当然としても、中国プロバイダも数多く登録されていることは興味深い。日本のプロバイダはごく僅かに留まっている。

 一例としてクラウドストレージのBoxをとってみると、以下で詳細情報が得られる。https://cloudsecurityalliance.org/registry/box/

 ここからCSAの提唱するクラウドプロバイダ向けセルフアセスメントのフレームワーク、CAIQ Consensus Assessments Initiative Questionnaire) に従って、プロバイダ自身が(このケースではBox社が)自己評価をした結果が得られる。興味のある方はぜひご一読頂きたいが、なかなかの情報量である(しかも英語)。

そうなってくると、こうした情報が得られるとしても、それを利用者が正確に判断できるのか、いわゆる利用者のセキュリティ・リテラシが問題となる。

 さてここでCASBである。

 CASB4つの柱のうち1つ目の柱である「可視性」、ここには「どのクラウドサービスを使っているか」という意味合いとともに「それはどんなクラウドサービスであるか」という観点がある。対象とするクラウドサービスがどのような種別のサービスを提供するのか、そしてどのようなセキュリティ機能を提供しているか、こういった情報を、CASBは提供する。そしてここで重要なのが、CASBはセキュリティ状況をシンプルにリスクスコアとして判定して提供してくれることということである。

例えばあるCASBでは、クラウドサービスのリスクスコアを9段階で評価してくれるため、信頼を寄せられる程度が簡単に判断できる。

 ではそれはどのような基準でスコアリングを行っているのだろうか。

 評価基準の大元としてよく使われるのが、CSAで策定しているCCMCloud Control Matrix)である。これはCSAジャパンで日本語版としてもリリースしているもので、下記からダウンロード可能である。
http://cloudsecurityalliance.jp/WG_PUB/CCM_WG/CSA_CCM_v.3.0.1-03-18-2016_ISO_J_Pub.pdf
(注: なお、ここで公開している日本語CCMControlの翻訳部分のみである。CCM全体のEXCEL版は、現在CSAジャパン会員のみが利用可能となっている。)

 最新版のv3.0.1では、16ドメイン、133項目からなっていて、例えば以下のような項目がある。

  • カテゴリ:データセンタセキュリティ
  • 項目:コントロールされたアクセスポイント
  • 説明:機微なデータ及び情報システムを保護するために、物理的なセキュリティ境界(フェンス、壁、柵、警備員、ゲート、電子的監視、物理的認証メカニズム、受付デスク、安全パトロールなど)を実装しなければならない。

 例1)

  • カテゴリ:暗号化と鍵管理
  • 項目:権限付与
  • 説明:鍵には識別可能な所有者が存在し(つまり鍵とアイデンティティが紐付いていること)、また(組織には)鍵管理ポリシーがなくてはならない。

 例2)

  • カテゴリ:脅威と脆弱性の管理
  • 項目:脆弱性 / パッチ管理
  • 説明:(長いので省略。ぜひCCMをご参照ください)

 CASBベンダはこういった情報を前述のCAIQやクラウドプロバイダのWebサイトによる公開情報などから入手する。公開情報がない場合は、個別にクラウドプロバイダに問い合わせることもする。クラウドプロバイダから回答が得られない場合は、その状況を踏まえCASBベンダが独自に判定することになる。

またスコアリング項目は必ずしもCCMと完全一致という訳でなく、CASBベンダ自身による重みづけや独自観点も加味する形で算出されている。また重みづけについてはユーザによるカスタマイズ機能を提供しているCASBもある。

 各クラウドプロバイダのセキュリティ対応状況も刻々変化する一方、クラウドプロバイダもサービスの数自体も増加していくので、CASBベンダはこういった状況にも追随して対応している。特定のクラウドサービスが登録されていない場合は、リクエストにより追加登録対応してもらえる。

 CASBベンダはこのような取り組みを通して、クラウドプロバイダやサービスごとのセキュリティ対応状況データベースを日夜更新しており、今や登録サービス数30,000に迫るデータベースを保持するCASBベンダもある。

従来国産クラウドサービスについては対応サービスが限られる状況があったが、対応数も順調に増加しているようである。

組織によっては申請ベースでクラウド利用を個別に許可する運用を行っていることも多いと思うが、さらに個別に個々のクラウド利用審査のための調査が大変だ、という声を聞くこともある。クラウドを使いたいのに選択の判断情報がない、あるいは調査のための労力が無視できない。これをCASBのリスク判定で代替してしまう。これは一つの有効なCASB活用事例と言えそうである。

 しかしながらそれ以上にこういったリスク評価基準の策定フェーズにおいては、企業のクラウド活用における根本命題、すなわち「企業としてどのような観点でクラウドを活用していくか」という点に向き合うこととなる。これは企業のクラウド活用戦略を立てる良い機会となるだろう。

 CASBという存在の登場により、ユーザ企業、クラウドプロバイダの相互理解が進むこと、ひいてはユーザ企業におけるクラウド活用の進展、そして生産性向上とともに社会の発展つながる、こういった流れをCSACASB-WGとしても独自の立場から応援していきたいと考えている。