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CSAプレスリリース”CSAの新たな調査レポート:金融はクラウド戦略を模索中”-ハイブリッドクラウドが好まれ、データセキュリティとセキュリティ管理が最大の関心事-

2015年3月11日
日本クラウドセキュリティアライアンス事務局長
勝見 勉

CSAのFinancial Services WGの調査結果報告が公表され、そのアナウンスがありました。以下にプレスリリース全文の日本語訳を紹介します。

3月5日シアトル発表:金融機関の多くが徐々にクラウドに保存するようになっている。これが、CSAの新たな調査「金融部門でのクラウドの利用について」で判明した主な点です。調査対象は全世界の銀行、保険および投資機関です。調査に よれば、金融部門におけるクラウド利用が少しずつ一般的になってきている中で、確固たる、管理とセキュリティ対策の整った戦略を用意できているのは50% に満たず、それが主たる懸念事項になっています。

「この調査結果は金融サービス産業がクラウド利用をどのように進めているかに ついて、およびクラウドプロバイダがいかに的確にその関心事項と要求項目に対 応できるかについて考えるための洞察に富んでいます。」とCSAのCEO、Jim Reavisは語り、「この結果が、クラウドプロバイダと金融機関が、金融部門での セキュアなクラウドの利用を進めるためのガイダンスとして活用されることを期待しています。」と付け加えました。

調査結果によれば、61%がクラウド戦略を正規に整える段階にあり、39~47%がインハウスのIT、プライベートクラウド、パブリッククラウドの組み合わせを利用しようと考え、18%がプライベートクラウドの利用を考えています。大部分をパブリッククラウドにホストしてもらう予定だとした回答者はゼロでした。調査結果ではまた、顧客が電子的手段で取引をする度合いが高いほど、クラウドポリシーは緩くなっており、このタイプの金融機関では厳しいポリシーを適用しているのはたった3%でした。

CypherCloud社のクラウド戦略およびセキュリティ担当副社長であるDr. ChenxiWangは以下のように語っています。「回答は全体として金融サービス部門はクラウドサービスにとってたいへん活発な市場となっていることを示しています。この業界では多くの企業がクラウドのパワーを活用しようとしており、クラウドは確固たる位置を占めています。特に、回答者の要望リストのトップを占める監査の有効性とデータ保護対策に対応できるプロバイダーにとっては、成長の余地は大きくあります。」

「金融部門でのクラウドの利用について」調査報告には、米州、EMEA、APACの色々な規模と業態の企業から100を超える専門家の意見を収録しています。クラウドにおける情報保護のリーダーであるCypherCloud社がスポンサーとなったこの調査は、CSAのFinancial Servicesワーキンググループが実施し、金融部門ではいかに異なったクラウドソリューションが実施されているかの状況をマッピングする初めての試みとなりました。この調査のねらいは、金融業界における、クラウドサービスの提供と管理に関する主たる懸念事項を分析し、クラウドサービスの利用を促進することが必要であるということを知るところにあります。

金融サービス企業はまた、クラウドプロバイダーの透明性と監査における自由度を求めており(80%)、これはデータ暗号化の要望(57%)以上となっています。クラウドに移行する動機については、回答者の68%がインフラ能力の拡張性を挙げて第1位、僅差(63%)でプロビジョニング(コンピューティング機能の配備)時間の短縮が続きます。クラウドに移行する場合に利用するサービスや機能では、1位がCRMで46%、アプリケーション開発(45%)、email(41%)が続き、意外にもバックエンド(総務人事経理等)サービス(20%)やバーチャルデスク(14%)より高くなっています。

最後に、クラウドに移行するに際しての規制や法令順守に関する要求では、上位にデータ保護(75%)、コーポレートガバナンス=企業統治(68%)、PCI-DSS(54%)と国による規制(47%)が並びました。

調査ではまた、金融、政府、保険、セキュリティの各意思決定責任者がその組織の中でどのように行動するかについての洞察も得られました。それは最もセキュリティの高いクラウドサービスを組み合わせて標準的なものとして起用すること、どのようなポリシーが最も影響があるかについての判断、ユーザ教育において何が肝要かを把握することです。

報告書の本文は、https://cloudsecurityalliance.org/research/fswg/#_downloadsからアクセスできます。

調査へのフォローアップとして、CSAのFinancial Servicesワーキンググループでは、2015年の活動報告で、金融サービス部門でのクラウドコンピューティングのベストプラクティス(実践規範)に関する懸念と利点を取り上げる予定です。Financial Servicesワーキンググループのリーダは、BBVA社のイノベーション・エンジニアリング・ソフトウェア開発におけるITリスク・不正・セキュリティの責任者であるJuan Franciscoと、Caixa銀行のセキュリティマネージャであるMario Maawadです。ワーキンググループへの参加に関心のある企業や個人は、financila-services-leadership’@’cloudsecurityalliance.orgにご連絡ください(@の前後のクオーテーションを削除してください)。

CSA勉強会「金融向けクラウドの最新動向 ~事例、FISC、ベンダの動き」

2015年2月26日
日本クラウドセキュリティアライアンス 理事
諸角 昌宏

2月25日に行われたCSA勉強会「金融向けクラウドの最新動向 ~事例、FISC、ベンダの動き」に参加しました。講師は、株式会社電通国際情報サービス クラウドエバンジェリスト、社団法人クラウド利用促進機構 (CUPA)運営委員・総合アドバイザの渥美俊英氏です。

まず、クラウド利用の最近の動向として、昨年から金融機関のクラウド事例が次々と公開され大きなインパクトを与えているということでした。以前であれば、公開されることの無かった金融機関の業務システムの内容が、昨年からは具体的に事例公開されるようになったということは、驚くべきこととのことです。

金融機関のクラウド事例は以前からあり、数年前にはECOポイントをセールスフォースで実現しましたが、最近は本格的なパブリッククラウドであるAWS等が利用され、かつ、実際の業務システムをクラウド化するということで、ミッションクリティカルなシステムでもAWS等が利用されるという流れになってきています。

この流れを牽引しているAWSですが、AWS Summit 2014でソニー銀行やマネックス銀行のクラウド事例が、インテグレータではなくエンドユーザの目線で情報公開されたため、よりビジネスよりの詳細な内容が出てくることになりました。もはや、クラウドは、テクノロジの選択ではなく、ビジネスの選択であるということを印象づけることとなり、これからはインテグレータの提案の仕方も変わらざるを得ないということのようです。

また、FISCからセキュリティリファレンスおよびクラウド利用推進の報告書が公開され、金融機関に対するクラウド利用に向けた対応の指針となるとともに、他の業種へのリファレンスとして活用できるようになってきました。

IaaS市場の動向は、Magic Quadrant(勉強会資料には非掲載)によると、AWSの独走であったものが、昨年からMicroSoftが猛烈に追随してきているとのことです。また、IBMもSoftlayerの買収を経て追随してきており、Googleも来ているという状況です。また、国産クラウドも独自性を出して進めているという状況のようです。まさに、群雄割拠の状況になってきているようです。また、クラウド利用も以下のように変化してきています。

  1. オンプレの安価な代替
  2. ミドルウエア(DB等)の代替
  3. 運用保守の自動化
  4. クラウド流の開発プロセス基盤

このように、クラウド業界は、大きく動いており、しかも数カ月単位で変化している状況ですので、今後も注目していく必要があります。

詳細については、勉強会の資料が後日公開されますので、あらためてご連絡します。

また、リプレイ開催も以下のように行われるようですので、ご利用ください。http://www.cloudsecurityalliance.jp/study.html

 

「医療情報セキュリティセミナーin八王子」 レポート

2015年2月19日
日本クラウドセキュリティアライアンス事務局長
勝見 勉

医療情報セキュリティセミナーin八王子に行ってきました

CSAジャパンの代表理事である笹原英司さんは、ITセキュリティの専門家ですが、「医薬学博士」の学位を持っているというスゴイ人です。そしてまたその活躍の場も、古くは労働省とか、世界的リサーチファームとか、そして今は在日米国商工会議所のヘルスケアIT小委員会委員長であったりして、とにかく広い!! 更にはNPOヘルスケアクラウド研究会の理事でもあります。そしてわがCSAジャパンでは代表理事を引き受けるとともに、「健康医療情報管理」「ビッグデータ」「モバイルユーザ」の3つものワーキンググループのリーダーも引き受けてもらっています。

そんな笹原さんのリーチの広さを改めて知ったのが八王子におけるセミナーでした。会場は「コワーキングスペース8Beat八王子」という、起業家や市民活動の人や同好グループに活動の場を格安で提供している、コミュニティハウスみたいな場所で。集まった人たちも、IT周りでコミュニティ活動をしているCode for Hachiojiとかそういった仲間。濃くてアットホームな雰囲気の中で、笹原さんの2時間の熱演がありました。

講演タイトルは「健康医療分野の海外サイバーセキュリティ最新動向」。内容は「健康医療分野のサイバー攻撃に起因する海外の情報漏えい事例」「健康医療のセキュリティ/プライバシー規制とサイバーセキュリティの動向」「健康医療へのシビックテクノロジー適用とセキュリティ/プライバシーのリスク」と、とても濃いんです。

まず、アメリカでの、サイバー攻撃による医療情報流出の事例ですが、今月になって発覚したAnthemの8000万件の漏えい事件は衝撃的です。笹原さんもまずはこれを取り上げました。盗まれた情報には、名前、誕生日、医療ID、社会保障番号、住所、メールアドレス、雇用情報、収入データが含まれるとのこと。社会保障番号は実質個人番号ですから、それと名前、住所、生年月日が分れば、完璧になりすましされてしまいますね。この他にも数百万件に上る医療情報漏えいが、サイバー攻撃や盗難によって起きているようです。

また、年末世界的に注目を集めたソニー・ピクチャーズの情報漏えい事件では、セレブの情報などが関心を呼びましたが、従業員の保健情報も盗まれていて、被害に遭った従業員からの集団訴訟も起きているとか。またアメリカの集団訴訟は、賠償が決まれば全被害者が対象になるので、1件は少額でも莫大な金額になりやすいのだとか。この辺はさすがに、専門的で詳しいな、と脱帽でした。

健康医療のセキュリティ/プライバシー規制の話では、米国のHIPAAとHITECHを説明してくれました。HIPAAは1996年に成立していて、サイバーリスクが注目されるより前から、情報保護への対応は進められている、と指摘してくれました。連邦プライバシー法制がないなど、取り組み姿勢が強いとは思われていないアメリカが、割と早くから手を打っているのは意外で、さすがよく見ておられると、またまた感心させられました。

さて、こう書いていくと、何せ2時間の熱演なのでとても紙数が足りません。幸い、資料をCSAのwebで公開して下さったので、後は皆さん、直接資料から学んで下さい。そしてもっと知りたければ、「健康医療情報管理」ワーキンググループに参加されてはいかがでしょうか。
http://www.cloudsecurityalliance.jp/healthcare_wg.html

SLA-Readyがヨーロッパで発足

クラウドのSLAをガイドするSLA-Readyがヨーロッパで発足

2015年2月13日
日本クラウドセキュリティアライアンス 理事
諸角 昌宏

クラウドサービスの利用する場合、通常、SLA(Service Level Agreement)に基づく契約を行うことになります。CSAのガイダンスでは、「SLAが利用者に提示された時、サービスとプロバイダに対するサービスレベル、セキュリティ、ガバナンス、コンプライアンスおよび法的責任に対して期待される点が、契約上規定され、管理され、強制される」というように記述されています。したがって、利用者は、クラウドサービスを利用する前にプロバイダが提示するSLAを詳細に確認および理解し、クラウドサービスの利用上問題がないことを確認する必要があります。また、必要に応じてプロバイダと交渉しSLAの変更を行うことも必要になります。しかしながら、SLAを理解することは非常に難しいというのが現状です。特に、中小企業(SME)にとっては、クラウドサービスに対する専門家や知識の不足などから、SLAを理解することが難しい状況です。また、SLAの複雑で誤解を招く記述や、ワンクリックで合意しなければならないことが、中小企業のクラウドサービスの採用の足かせとなっています。

SLA-Readyは、SLAの共通の理解を働きかけ、SLAの標準化や透明性の確保を行っていくために設立されました。これにより、どのようなサービスを利用するかという企業の意思決定や信頼性についての情報を提供していくようです。

SLA-Readyは、ヨーロッパのクラウドマーケットの信頼性を構築することに貢献していくことになるようです。今後の動向に注力していきたいと思います。なお、CSAも、このコンソーシアムのメンバーですので、今後CSAがどのように関わっていくかも見ていきたいと思います。

SLA-Readyの情報は、http://www.sla-ready.eu/ で提供されていますので、今後の動向も含めて参照してください。

 

CSA勉強会の活用方法(第7回勉強会に参加して)

日本ヒューレット・パッカード株式会社
吉田 豊満

第7回CSA勉強会に参加してきました。第1回、第6回については都合が合わず参加できませんでしたが、これまでの出席回数としては良く参加できている(ハナマルです)と自負しています。参加することに意義があるかどうか分かりませんが、参加のたびに新しい発見や、今までにお会いすることのなかったような方々と、面会し会話できることはこれまた新たな意見や考えに触れることができ非常に有意義と思っています。

第7回の勉強会はテーマとしてはビックデータでした。ビックデータのセキュリティってデータベースのセキュリティじゃないのと思ってしまうのですが、それ以外にもビックデータを使用したセキュリティ分析があり、またまたビックデータの解析によって得た結果活用によってプライバシー侵害だとされてしまうという事は新たな発見でした。ビックデータについてはCSAーJC内のワーキンググループがあり、笹原さんが中心になって進められています。資料等は下記サイトを開いていただくと、参照できますので是非読んで頂ければと思います。
http://www.cloudsecurityalliance.jp/bigdata_wg.html
ビックデータの解析結果活用が脅威になってしまうという話ですが、ビックデータの解析精度が上がることによっていくらでもこんなことが発生してしまうのではと思いました。購買履歴を元にある人がこれからどんなものを購入するかといった予測をたてるのがビックデータ分析と思います。そして、この予測データを元に推奨商品を提案するというのがよくあるマーケティング活動だと思います。しかし、場合によっては、「こんなものを買うはずも無いのに勧められるのは迷惑である」といった文句を言う人も居ます。勧めるには勧めるだけの理由があるが本人は気づかないということもあります(ビックデータは知っているが、本人は知らない、憶えていないということでしょうか...)。例としてお話があったのは、娘が妊娠していることをしらなかった親が、娘宛に妊婦向けの商品案内をやたらと送ってくる、これは、娘を侮辱していないかと感じ取った事件です。しかし、実際には娘は妊娠していて、嘘ではなかったというのがオチのようです。迷惑と感じたときの受け取り方にもよるのですが、重大な問題を引き起こしてしまう可能性もあり、人によってはプライバシーを侵していると訴える人がでてもおかしくありません。

お勉強の話はこれぐらいにして、CSAの勉強会は1時間30分ぐらいで終了して、その後、勉強会にこられた方々で懇親会を行っています。缶ビールと乾き物で熱く語るというのがCSA勉強会後の懇親会スタイルです。普段私はIT系の方々との接点しかないのですが、この懇親会の場では弁護士の先生であるとか、元警視庁OBの方であるとか、今までお会いしたことの無い方々と面会してお話させていただく機会となっています。また、私のような常連メンバーも何名か居てセキュリティについて語るも良し、商売の話をしても良し、お遊びの話をしても良しで、楽しい仲間が増えていっているということを実感しています。

ぜひ皆さんもCSA勉強会を通じて新たな発見、新たな仲間を作っていっていただきたいと思います。次回の第8回勉強会のテーマは「金融向けクラウドの最新動向」とのことで、FISCベースのお話が聞けるようです。非常に興味あるテーマです。CSA勉強会には誰でも参加できますので奮って参加いただければと思います。
http://www.cloudsecurityalliance.jp/study.html

2015年 年頭のあいさつ (最終回)

2015年年頭のご挨拶の第五回(最終回)になります。最終回は、CSAジャパン代表理事の二木さんより投稿いただきました。


年頭ブログ(最終回)
CSAジャパン 代表理事 二木真明

CSA代表 Jim Reavis来日歓迎の飲み会から始まったCSA JCが、よりその活動の幅を広げるために一般社団法人となってから、早くも一年が経過しました。その間、多くの法人、個人会員にご参加いただき、活動をご支援いただいたことを、あらためて深く御礼申し上げる次第です。

さて、クラウドからのサービス提供やその利用は世界的に定着し、その利点や課題についても、より具体的な議論が可能になってきました。CSAが提供しているSTAR認証も、こうした状況を踏まえ、事業者のセキュリティの透明性を高め、より多くの、また高度なクラウド利用を推進する一助となるにちがいありません。そのような状況の中、我々日本サイドが、グローバルに存在感を高めていくことが重要になってきます。今のところ、残念ながらグローバルが矢継ぎ早にリリースしてくるアウトプットを翻訳、咀嚼することで手一杯の状況があります。ここから一歩踏み出して、新しいテーマや日本が優位性を発揮できる分野で、グローバルのアウトプット策定の過程から、深くかかわっていくことができれば、ほぼ同時のリリースが可能になるのと同時に、我々の考えもそこに組み込むことができます。こうしていくことが我が国におけるクラウド利用推進のために不可欠だろうと考える次第です。

そのためには、会員の皆様のご協力が不可欠です。現在、複数のワーキンググループがこうした活動を進めていますが、人的なリソースがきわめて限られています。こうした活動に積極的にご参加いただき、世界への発信にご協力いただければ幸いです。

さて、私自身は昨年より、IoT(Internet of Things)をひとつのテーマとして活動しています。IoTといえば、どうしてもデバイス側に目が行きがちですが、現実にはこれらのデバイスの多くが、メーカーによる管理サービスに統合されており、こうしたサービスは、現在ではクラウドから提供することが一般的です。IoTのセキュリティを考える際に、個々のデバイスの安全性もさることながら、それらを統合するクラウド側の安全性は、非常に多数のデバイス全体に影響するという意味で、非常に重要です。攻撃を企てる側にとっても効率がよいために、非常に高度な攻撃を仕掛けてくる可能性が高いと考えています。こうしたサービスのセキュリティをどう考えればいいのかを提示することも、我々の仕事だろうと思っている次第です。現在、IoTクラウドサービスWGを立ち上げて活動を開始していますが、メンバーも少なく、なかなか思うように作業が進まない状況があります。こちらも、是非、多くの皆様にご参加いただき、検討を加速できればと考えていますので、よろしくお願いいたします。

ようやく法人としての体をなしはじめたところのJCですが、今年は、これを基盤として、クラウドセキュリティを高める活動を加速していかなければいけません。このためには、様々な面で皆様のご支援が不可欠です。ぜひとも、我々の活動をご理解いただき、積極的に参加していただければと存じます。

 

2015年 年頭のあいさつ (第四回)

2015年年頭のご挨拶、第四回は、CSAジャパン副会長兼代表理事の笹原さんより投稿いただきました。


年頭ブログ(第四回)
CSAジャパン 副会長兼代表理事 笹原英司

私は、2009年夏、「Security Guidance for Critical Areas of Focus in Cloud Computing Version 2」の「Domain 3: Legal and Electronic Discovery」パートの策定・レビュー作業より、クラウドセキュリティアライアンス(CSA)の活動にボランティアとして参加しました。CSA本部とやりとりをしているうちに、たまたま共同創設者であるJim Reavis氏が来日することを知り、同年12月、虎の門の居酒屋でJim氏を囲む会をやったのが、CSAジャパンとしての活動の発端です。その後2010年6月に任意団体としてクラウドセキュリティアライアンス日本支部が発足し、2013年12月に一般社団法人日本クラウドセキュリティアライアンスへと発展してきましたが、法人化後、気が付いたら1年過ぎていたというのが実感です。

「Cloud Security」にまつわる新たな課題解決のために、リアルの場やソーシャルネットワークを介して様々な人材が集まる「Crowd Sourcing」で知恵を絞っていくのがCSAの強みであり、面白さでもあります。今後は、クラウドユーザーとクラウドベンダー/サービスプロバイダーの壁を取り払うと共に、日本のソリューションと海外のソリューションを繋ぐお手伝いをしながら、2年目、3年目へと進んでいけたらと思っています。

モバイルユーザーワーキンググル―プは、CSAグローバルのモバイルワーキンググループの一員として、エンタープラインズセキュリティの観点から、CCM 3.xで追加されたモバイルに関わるリスク評価項目の具体的な内容を明確化する作業に関わっています。2014年より新たに活動を開始したIoTイニシアティブでは、企業のモバイルデバイスの管理対象をスマートフォン、タブレットからセンサー機器に拡張して、モバイルデバイス管理(MDM)、BYODなどの方向性を検討しています。CSAグローバルでは月1回定例テレカンファレンスを開催していますので、気軽にご参加下さい。

ビッグデータユーザーワーキンググループは、CSAグローバルのビッグデータワーキンググループが取りまとめたドキュメント類の日本語翻訳作業を行ってきました。ビッグデータセキュリティの技術的対策では、Hadoop、NoSQLのセキュリティ、通信レイヤやデータベースレイヤの暗号化、デバイスからクラウドデータセンターに至るまでのログ管理、組織的対策では、ISO 27001:2013のICTサプライチェーンを念頭に置いた契約/QoS管理やプライバシー/個人データ保護など、CSAが培ってきたクラウドセキュリティの国際標準にプラスαが求められます。このような動きを、企業の経営層やIT部門以外のクラウドユーザーに伝えることに注力していきたいと思います。

健康医療情報管理(HIM)ユーザーワーキンググループは、米国FDAのモバイル医療アプリケーションガイドラインや医療機器サイバーセキュリティガイドラインの施行、厚生労働省の医薬品・医療機器法施行に伴う医療ソフトウェアの新設など、規制当局の法規制新設・改廃に関わる情報の伝達・共有に注力してきました。2015年は、健康医療分野において、シビックテックやオープンソースソフトウェアを活用した地域住民参加型オープンデータ/ビッグデータ推進策が拡大する中で要求されるクラウド/モバイル/サイバーセキュリティ対策の啓発活動に注力していきたいと思います。

各ユーザーワーキンググループとも、アプリケーション開発者、デジタルマーケティング管理者など、日頃情報セキュリティに馴染みのないクラウドユーザーが気軽に参加できる環境の整備に向けて頑張ります。

今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いします。

2015年 年頭のあいさつ (第三回)

2015年年頭のご挨拶、第三回は、CSAジャパン副会長の大和さんより投稿いただきました。


年頭ブログ(第三回)
CSAジャパン 副会長 大和敏彦

皆様、明けましておめでとうございます。

CSAジャパンも1周年を迎えることができましたが、これも事務局長、理事の方々、参加されている方々の精力的な努力によるものだと思います。昨年5月の CSA Japan Summit、11月のCSA Congress開催も成功裏に終わり、認知度も上がり、Working Groupでの活動も積極化しています。本年も活発な活動、それを通じた社会への貢献を期待いたします。

元旦の新聞でも大きく取り上げられていたように、ロボットやビッグデータの活用が広がり、IoTと呼ばれるようにネットワークで繋がる時代が訪れています。IoTでは機器やデバイスがネットワークを通じてクラウドに繋り、機器自身や機器に搭載されたセンサーの情報がネットワークを通じてクラウドに蓄積され、解析が行われ、その結果が再び機器にフィードバックされる複数の機器やシステムから構成されるモデルとなります。扱われる情報もヘルスケアでは、医療情報を始めとする個人情報が扱われたり、重要施設に設置された機器の情報が扱われたりするため、機密度の高い情報がより広い範囲で扱われるようになります。セキュリティの脅威も、サイバー攻撃では、ソニー・ピクチャーズエンタテイメントの例は特殊かもしれませんが、特定の相手をターゲットにした標的型攻撃のような悪質な攻撃が増えていることは事実です。ロボットや自動運転では、情報を扱った犯罪だけでなく、物理的な犯罪や破壊行為につながる可能性があります。いかに便利で効果のあるソリューションであっても、安全で安心して使えなければ、使われません。テクノロジーの進化の状況、それに伴うセキュリティリスクを理解したうえでソリューションの展開を図っていかなければいけません。

CSAジャパンは、1年ですが、CSA自身は2008年から活動を開始しており、グローバルに存在感を持つ組織です。これらを積極的に活用し、クラウド、ビッグデータ、IoTの時代に安心・安全を迎えられるように一層積極的な活動を行うことが期待されています。

 

2015年 年頭のあいさつ (第二回)

2015年年頭のご挨拶、第二回は、CSAジャパン副会長の長谷川さんより投稿いただきました。


年頭ブログ(第二回)
CSAジャパン 副会長 長谷川 礼司

******CSAジャパン、新たな年に向けて******

CSAジャパンが設立し、昨年末で無事1年が経過しました。
事務局長の勝見さんとのお付き合いで副会長という立場で参画させていただきながら殆ど活動らしい活動もできず一年間が過ぎてしまいました。
私自身はセキュリティという領域での技術的なバックグランドがないため、皆さんの運営委員会活動に参加できず、もっぱら懇親会の員数確保という形での参加でありました。私自身の貢献はできませんでしたが、運営委員の方々の活動は素晴らしく日本でのポジション確保とCSAジャパンの露出アップは十分できたのではないでしょうか。

世の中は益々インターネット社会になり、情報の流れは殆どWEBの世界になりつつあります。しかし、その利便性の裏には大きな脅威が存在しています。先ごろの北朝鮮によるソニーピクチャーズへのサイバー攻撃、日本でのマイナンバー登録制度等々、今後益々セキュリティの重要性が増すばかりであると思っています。

利便性と安全性とそれにかかるコストとのバランスが重要と思っています。
CSAジャパンの皆さんのますますのご活躍を祈念しております。

2015年 年頭のあいさつ (第一回)

明けましておめでとうございます。
本年も、CSAジャパンをよろしくお願いいたします。

2015年の年頭に当たり、CSAジャパンの幹部による年頭のご挨拶を掲載いたします。5回シリーズを予定しています。
第一回は、CSAジャパンの事務局長の勝見さんより投稿いただきました。CSAジャパンの経済学から新たな年に向けての決意表明となっておりますので、みなさまご覧ください。


年頭ブログ (第一回)
事務局長 勝見 勉

皆様、あけましておめでとうございます。ご家族ともども、よいお正月をお迎えのこととお喜び申し上げます。今年1年が、皆様にとってよい年でありますよう、お祈り申し上げます。

さて、お陰さまで一般社団法人日本クラウドセキュリティアライアンス(CSAジャパン)も、昨年12月に設立1周年を迎えることができました。設立に際しては多くの方のご参集をいただき、またその後も順調に会員数を伸ばすことができました。ひとえに皆様のご支援の賜物と感謝しています。
という調子で書いていると、1周年記念ブログのようになってしまい、また、CSAジャパンの目的は、ビジョンは、任務は、課題は、と固い話になりそうです。未だ皆様お屠蘇気分の抜けない頭で読んでいただいているものと想定して、ここは少し柔らかい話題にしたいと思います。つまり、飲み食いの話です。

CSA勉強会は、昨年6月にスタートして、11月まで6回、月次開催をキープして来ました(12月は単純にカレンダーとの折り合いが悪いため見送りましたが)。売り物の一つと自負しているのが、毎回後半の懇親会です。1人1000円(会員外は2000円)、という、ほぼ昼食代並みのコストで、1時間半飲み食いしていただけるセッティングにしています。これ、基本的に毎回収支トントンで運営しています。
一方で、12月に初の試みとして実施した、1周年記念会員交流会。こちらの懇親会費用としては、3850円という「多額」をご負担いただきました。これも、ケータリング会社に払った1人当りのコストそのままでご負担をいただきました。
どちらも立食で、時間も1.5~2時間で、飲み物と食べ物が出て、どちらも量が足らないということはなくて、会場は会議室の転用で、と見てみるとさほどの違いはありません。料理は少し差があったと思います。後者は生ビールもピッチャーで来ましたし、専任の係の方のフルサービス付きでした。それでこれだけの価格差、というのは、どうなんでしょうか。ちなみにケータリング方式、すなわちパーティ出前サービスの場合は、サプライヤーは何社かありますが、どこも似たような価格設定のようです。なお、1周年記念会員交流会では、この他に会場費が、会議時間も含めて16000円ほどかかっています。

この内容・サービスの差と価格の差のバランス、皆様はどう思われるでしょうか。更に比較するなら、最近はレストランでの宴会も、最安は飲み放題つきで3000円ぐらいからあり、4000円なら温かい料理と飲み放題で、当然フルサービス付き、とう世の中ですよね。デフレのおかげというべきか、企業努力の賜物というべきか。。。結論としては、プロのサービスを利用する範囲において、こちらで会場を用意して「パーティの出前」を頼むよりは、レストランや居酒屋さんの、それなりの雰囲気の中でやる方が、実は安い、ということになりそうです。

無論、勉強会でやっている、おつまみの出前と乾きモノと缶ビール、すべて手作り感、すなわちセルフサービス、ベースなら、間違いなく安く上げられます。だいたい4分の1のコストで賄える訳です。それが、料理と飲み物のグレードがほんのわずか上がり(勉強会でとっている出前のおつまみは、出張パーティケータリングと、基本的に同じ業者から来ます)、サービスが加味されるだけで、4倍の費用がかかるという現実。

皆様は、当たり前、という感じでしょうか。つまりケータリングならそれぐらいかかるよ、と。それとも、4倍はいくら何でも高いよ、という感じに近いでしょうか。いずれにせよ現実は、ちょっと飲み会をやろうと思うと、自前手作り方式がかなり「コスパ」の高いところに位置して、かなり離れてレストラン/居酒屋での宴会、その少し上にケータリング方式、そして多分それからまた少し上にホテルでの宴会、という地図になりそうです。

そのように眺めると、やはり一番コストがかさむのが、人のサービスを買う部分、という構造が見えて来るような気がします。昔は「人海戦術」という言葉がありました。機械を使うより、サービスを買うより、とにかく安い(あるいはタダの)人手でこなしてしまえ、という感覚でした。が、今や人が何かをすると高くつく世界になってしまいました。

とまぁ、新年早々みみっちい話を書いてしまいましたが、食べつつ飲みつつ歓談することが交流・懇親の最良の手段であることは異論の余地がないでしょう。ので、CSAジャパンとしては、毎月の懇親会つき勉強会は可能な限り展開していきたいと思っていますし、1000円(非会員は2000円)の、格安会費も維持したいと思っています。そして時々はプロのサービスも買う懇親会(基本的には勉強会以外の場で)も織り交ぜて行きたいと。

ということで、CSAジャパンの付加価値の中身は、ワーキンググループを始めとする調査研究活動によって築いていただくとして、事務局としては「懇親の場の提供」に引き続き取り組んでいきたいと思っています、皆さま多数の、毎度のご参加をお待ちしています。

…と言いつつ、飲んでダべるのがひたすら好きな私の、「今年も飲み会やるぞ」宣言にすぎなかったようです。皆様、今年も飲みましょう!!!