データセンターセキュリティ ~第17回CSA勉強会

日本クラウドセキュリティアライアンス 業務執行理事
諸角 昌宏

10月27日に行われた第17回CSA勉強会では、日本データセキュリティ協会が公開しているデータセンターセキュリティガイドブックの2015年版について、水戸和氏に講演していただきました。「データセンターセキュリティガイドブック」は、データセンターの利用者と事業者に対して「データセンターの適切なセキュリティ」とは何かを考え、共有する為の共通の知見を提供しているドキュメントということで、CSAジャパンとしても注目している内容になります。

さて、CSAジャパンとしては、そもそもクラウドセキュリティとデータセンターセキュリティがどのような関係になるかというところから始める必要がある。このあたりについては、CSAジャパンのメンバーである山崎氏がIT Leadersの記事でCSAガイダンスの内容として説明している(http://it.impressbm.co.jp/articles/-/11446)。これによると、「クラウドコンピューティングを進化さえるためには、サービスプロバイダや管理者は、仮想化技術を使ってサーバー資産を管理するだけでなく、データセンターそのものを進化させる必要がある」ということである。データセンターにおける物理セキュリティをクラウドセキュリティの一部としてきちんととらえていく必要がある。

それでは、データセンターセキュリティガイドブックの話に戻る。
まずデータセンターの位置づけであるが、現在ではデータセンターを社会基盤(重要インフラ)としてとらえる必要がある。ITインフラの流れが、かつての電子計算機センターの集中型からクライアント-サーバーによる分散の時代を経て、インターネットデータセンター/クラウドによる再集中の時代になってきている。その流れの中で、多くの利用者がデータセンターを利用し社会基盤化してきている。そのため、データセンターのセキュリティの重要度は非常に高まってきているということができる。
データセキュリティガイドブックでは、日本のデータセンターが機密データを預けることができるだけのセキュリティを実現しているかという観点で、セキュリティのベースとなるガイドブックを作成するという目的で作られている。したがって、内容的には「基準」ではなくデータセンターの利用者と事業者が「考え方」の共有を行うことができることを目指している。
データセンターのセキュリティと管理策は第3章に書かれている。ここでは、データセンターが提供するサービスに対する脅威の分析と、その脅威に対する管理策の考え方を示し、最後に実際に「架空」のデータセンターを基にしてセキュリティ管理策がどのように実装されるかを紹介している。これにより、利用者がデータセンターに存在する一般的な脅威とそれに対する管理策を、事例を通して理解することができるようになっている。
第4章では、データセンターに関連する様々な基準やガイドライン、および、認証制度をまとめている。これらの概要や関係の概要を説明するとともに、分野ごとの基準やガイドラインについても説明している。データセンターセキュリティガイドブックでは、共有可能なセキュリティのベースラインを提供できるようにしていくとのことである。

なお、データセキュリティガイドブックは、http://www.jdcc.or.jp/pdf/DC_Security_Guidebook_2015.pdf からダウンロードできる。

CSAのCCMでは、データセンターの運用において、物理セキュリティに対する項目を提供しており、また、様々な標準や法令とのマッピングを行っている。今後、データセキュリティガイドブックともうまく協調できる方法を考えていきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*